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新規抗酸化
物質DHMBA
の発見

社長 渡邉貢のストーリー

渡邉貢社長の写真
代表取締役社長:渡邉 貢

人は負けたら大変なことになる

「おやじは根っからの職人、曲がったことは大嫌いで、いいモノしか作らない人だった。技術はあるから人が寄って来る、でも職人としての教育しか受けていないから、組織づくりも株のことも特許の取り方も知らない。ただ一生懸命働くだけ。それでは負けてしまう。人って負けたら大変なことになるんです」

1983年、渡邉貢は、経営が苦手で“大変なことになってしまった”父・富雄を助け、牡蠣肉エキスで社会に貢献したいという志を継ぐべく大学院を中退し、31歳で株式会社渡辺オイスター研究所を創業します。社名を「研究所」にしたのは、中断を余儀なくされた研究者としてのアイデンティティーに誇りを持っていたからでした。

ここからの「渡邉」は、渡邉貢を指します。

「富雄の息子である私は高校時代から牡蠣を飲み始めました。体操部に入って、器械体操をしていたのですが、部活でくたくたになると『カキ肉エキス』をぐいっと飲むわけです。これがすごく効く。それでおやじに『これ、どうして効くんだ』と聞くと、『グリコーゲン(グルコース(ブドウ糖)の高次多糖類。分解されてブドウ糖となり、血糖値を維持する一方、筋肉その他の組織のエネルギー源となる)だろう』っていう。

でも私は学校で勉強していましたからね『グリコーゲンじゃないだろう。ブドウ糖を摂っただけでこんなに元気になるはずがない。論理的におかしい』と言いました。

すると今度は「じゃあタウリンが高いからだろう」って。「いやいや、タウリンなら栄養ドリンクの方が、牡蠣の何倍も入っている」とかえしたら、「じゃあ合成の仕方が違うんだ」(笑)私はもう、ぜんぜん信用しませんでした」

ことごとく論破されたとはいえ、当時の富雄も、それなりに先端の知識は持ち合わせていました。ただ、渡邉の方が、高校生でありながらすでにサイエンティストとしての素質を開花させ、科学的知識と洞察力を身に着けていたということなのでしょう。

謎の物質の
「生理活性機能」に注目する

会社設立後の1992年、渡邉は社長業をしながら研究を再開。東京農業大学の博士号(畜産学)と北海道大学の博士号(医学)を取得しました。

「畜産学で博士号を取りましたが、修士までは栄養学をやっていました。もちろんオイスター研究のためです。博士号をとるとき『食品を研究するなら、食べた後まで研究しないと、学問したことにならない』と考え、紹介されて入った研究室がたまたま家畜の餌の研究をしていたので、畜産学の博士を授与されたのです。だから畜産のことは知りません。でも、弊社の業界は医者や薬剤師の先生方が相手ですから、畜産学博士では通用しません。そこで北海道大学の医学部に行き、研修生になって医学博士になりました。それが今日のDHMBAにつながっています」

そう述懐する通り、渡邉の人生はすべてDHMBAにつながっていたようです。

「どうしてオイスターを飲むと元気が出るのか。」

なかなか納得のいく答えは得られなかったのですが、そのうち科学の進歩によって、微量元素である亜鉛やセレンを測定できるようになりました。牡蠣には微量元素が豊富に含まれているということを知り、私もようやく『なるほど』となった次第です。

というのも、『ワタナベ活性型オイスター』は、少量飲んでも元気が出るんです。ほんの少量でも作用するということは、ホルモンや神経伝達物質、酵素などに作用する物質を摂取しているから、ということでないと説明がつかない。

食品には「栄養的機能」「嗜好的な機能」「生理活性機能」の3つがあるのですが、牡蠣肉エキスが高めているのは生理活性機能に違いないということで、納得できました」

「本草綱目」の
エビデンスを解く

青春時代に抱いた疑問を解く手がかりを得た渡邉が、次に着目したのは中国・明代の薬学書『本草綱目』でした。

「そこには『牡蠣肉は煮て食すると虚無感、心理的な患いを癒し、身体の調子を整え、丹毒を消し、婦人の血気の流れをよくする。なまのまま生姜酢で食すると、丹毒を治し、飲酒後の熱を下げ、のどの渇きを癒す。炙って食すると大変おいしく、また肌のきめを整え、皮膚の色を美しくする。』と、ありました。日本における室町時代にいち早く、牡蠣の機能性に言及していたわけです。そこで私は中国の北京大学病院に赴き、本草綱目に書かれていることを西洋医学的に研究し、正しさを検証しましょうと共同研究を提案しました」

それが26年前の1991年。

「『21世紀は東洋医学と西洋医学が結合・止揚(アウフヘーベン)し、さらなる高みをめざす時代。前のものを否定せず、破壊から新しいものを生むのではなく、結合させましょう。私に中国医学のルネサンスの手伝いをさせてくれませんか』と申し上げたところ、北京大学病院 孫院長(当時)は「それは素晴らしい」と盛り上がり、以後、共同論文を発表するなど、学術交流活動をつづけてきました。
北京大学病院の患者さんを対象に研究した結果、本草綱目に書いてあることは全部正しいことが証明されました」

この活動が評価され、渡邉は1998年7月、北京大学教育貢献賞、2000年12月に北京大学病院の学術顧問(牡蠣研究)に就任、2006年、2010年、2014年、2017年には、保健医学学術顧問として招聘されました。

これは、渡邉の研究が世界のトップレベルに値することの証明でもあります。

ワタナベオイスターDHMBAディーバゼリー機能性表示食品になる

ならば、そうした牡蠣の機能性に関与している栄養成分は何なのか。多く含有されている微量元素なのか。

――研究を続けていた2006年のある日、弊社研究所の一室で、社長・渡邉貢は、不思議なことに気が付きました。
「おかしいな、TBARS値(脂肪がどれだけ酸化されたかを示す数値)は優位に低下したのに、SODは活性してないぞ」
牡蠣肉エキスの上清(上澄み)を投与したマウスの腎中を調べたところ、過酸化脂質の値は明らかに低下して、活性酸素が消去されたことを示しているのに、活性酸素を消す酵素であるSODの働きに有意な上昇は見られなかったのです。

活性酸素を消去する方法は2つ。1つはSODなどの抗酸化酵素で消す方法。もう1つは、抗酸化物質の投与です。しかし、従来、牡蠣肉エキスの中には抗酸化物質はあまり含まれていないことになっていました。

「だが、マウスの体内の活性酸素減少は、SOD以外の抗酸化物質によるものと推察される。ということは、牡蠣肉エキスの上清には、未発見の抗酸化物質があるに違いない」

こう推察した翌年、渡邉は牡蠣の分析結果から、牡蠣肉抽出上清中に何かわからないが抗酸化物質かもしれないピークを発見。ただこの時点では、それがどのような物質なのかを見極めることはできませんでした。見極めるには、非常に高額な研究機器が必要だったからです。

国立大学の研究所でも、持っているところはあまりない機器を使い、研究を前進させるために、頼ったのは北海道大学でした。

2010年、北海道大学との共同研究により、牡蠣肉抽出上清より新規抗酸化物質DHMBAの同定に成功。

かくして渡邉貢率いる渡辺オイスター研究所は、牡蠣肉エキスに含まれる新規抗酸化物質DHMBAを発見、さらに機能性表示食品『ワタナベオイスターDHMBAディーバゼリー』を発売し、名実ともに牡蠣研究における世界トップクラスの企業として認められるようになりました。

故・渡邉富雄が牡蠣に注目してから82年。

「私はこれからも、自分の専門である栄養生理学、予防医学の分野で研究成果を収め、優秀な研究者と連携を組み、『人間性豊かな健康文化の開拓者となり、現実社会での人々の幸せに貢献したい』と深く決意しています」

親子2代で追いかける夢は、社員の想いとも重なって、まだまだ続いていきます。